娼館での最初の1週間。これは羞恥心との戦いだった。胸元を強調し、腕を露出し、スカート丈も短い衣装。一見、綺羅に見える安い薄物を幾重にも重ねるが、透けて見えることにあまり変わりはない。客の視線は刺すようでいて、舐めまわすようで、直接触られているも同然だった。
宮廷の廊下を音高く踏みならし、金糸の髪波立たせ乙女が往く。頬にかかる髪に縁取られた象牙の肌は滑らかで、見る者すべてを魅了する。だがその麗しい造詣には似つかわしくない、エメラルドの瞳には苛立ちと怒りの表情が浮かんでいた。ジュリエッタ・ユニウス。彼女こそ、ユニウス王国の王女であり、女性でありながら第一継承者であった。だが、その地位にふさわしくない言葉が、その桜色の唇から漏れる。